限られた永遠の物語
「それは・・・今も?」

彼女の声が震えていた。

今、彼女がうつむいてて良かった。

オレは彼女の顔が見れない。

「・・・・今は、死ぬことが怖い。」

彼女と出会ってオレは変わった
死にたくない。
かといって生きたいわけでもないんだ。

だってそうしたら、もう彼女と一緒にいられなくなるんだろ?

オレはずっと彼女と一緒にこの時間を過ごしていたいんだ

・・・なんて言ったら彼女は困るだろうな

だから…

「どうしても、この絵を完成させたいから、それまで死にたくない」

この限られた時間を残すために
永遠の時間にするために

ふっと彼女を見ると、床に濡れたものがあった

「リリ?」

名前を呼ぶと彼女の体がビクッと震えた

「リリ、顔を上げて」

彼女は首をふるがもう一度彼女の名前を呼んだ

「リリ・・・お願いだから顔をあげて」

頼むと呟くと彼女はゆっくりと顔を上げてくれた。

抱きしめたい気持ちに駈られながら必死に言葉を探す

「なんで、泣いてるの・・・?」
オレのために泣いているのか?

「わかんない・・・私なんで泣いているの?」

「いや知らないけどさ、でもこれだけはわかるよ」

やっぱり、リリは優しい死神だ


< 23 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop