桜ちる
冬の蝶

新幹線に乗るのを避けて空の旅にした。
富士の峰が雲間から突き出て高さを誇っていたが、
相沢の好きな山裾の雄大さがない。

櫻子の部屋は、住んでいない独特の雰囲気があった。

そして広すぎた。
こんな寂しい一人暮しをしていたことに胸が詰った。

明らかに昌子が使った部屋があった。
そのままにして置くべきか迷ったが、
櫻子の父親に連絡して、昌子の物を処分するように頼んだ。
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