恋イチゴ


ちょっと!ちがうでしょうが!



希祈はぶんぶん首を振った。



「西山さん?」


それを見た蓮は驚き、見られたことの恥ずかしさから真っ赤になった希祈を見て、笑った。




「西山さんってやっぱり…。」




その瞬間、急に強い風が吹いた。

希祈の栗色のミディアムヘアが揺れる。



「え?ごめん、もう一回!」




蓮が笑ったあとの言葉が聞き取れず、髪をかき上げながら慌てて蓮を見る。




すると、蓮は空を見ていた。


「なんでもないよ。」




そして希祈の顔を見ると、また笑った。



それはさっきとは違う、優しい、本当に優しい笑顔だった。






…好き……






その笑顔を見た瞬間…




今までごまかしていた希祈の気持ちが…






…自然と溢れた。




< 65 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop