ロ包 ロ孝 2
「いよっ! また会えたな、大金持ち」

「ジェイ、会いたかった!」

 駆け寄って来たカンに抱き締められたジェイは、顎を引き、当惑の色を隠せない。カンは構わずジェイに頬擦りしている。

「ちょちょ……俺、そのケは無いぜ?」

「え? ジェイ、女捨てた言ってたろ? 違うか?」

 濃いブルーアイにマジマジと見つめられたジェイは、そこに写った自分の間抜け面を見て噴き出した。

「プハッ! ははは、本気かと思ったぜ」

「しかしわたし彼氏居てるし!」

「何で関西弁なんだっ!」

 2人は暫しの間再会を喜び合っていたが、一転して表情を強張らせたジェイが身体を屈めて囁いた。

「ここは周りが開け過ぎている。場所を変えよう」


──────


「おいサブラウ。俺達、何か大事な事を忘れてる気がしねぇか?」

 雷児は腕を組んで神妙な顔付きで言った。

「サブラウはやめて下さいよ。こちとらあの変な外人のせいで何がなんだか……」

 やっと変な日本語に依ってもたらされる受難を回避した雷児達は、安堵の溜め息と共に、為すべき事さえ忘れてしまっていた。

「元はと言えばボスの大恩に酬いる為に……」

 2人は顔を見合わせて叫んだ。

「あぁっ! 大声男だ!」

 慌てて元の場所に戻った雷児達だったが、そこに声の主は居ないばかりか、カンの姿も無い。年端も行かないギャング達は、取りも直さずその場に居た通行人や周囲の商店等へ片っ端から聞き込みを行った。

そうして散々駆けまわってはみたものの、確たる目撃情報は何も無く、2人の努力はまさしく徒労に終わっていた。


〇※○※○※


「ここ迄来ればいいだろう」

 ジェイは周りに注意を払うと、路地を入り込んだ物陰に有る喫茶スペースに落ち着いた。

2人が差し向かいで座る周りをボディーガードの背中が囲んでいる。彼らの濃紺の壁に遮られた物々しい雰囲気の中で、カンが先に口を開いた。

「ジェイ、ちょっと雰囲気変わったよ?」

 そう言って真っ直ぐな視線をジェイに注いでいる。


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