ロ包 ロ孝 2
「ええええっ?」

 こぼれんばかりに目を見開いてカンを見返すジェイは、それがどういう事なのかを彼女に言って聞かさねばならなかった。

「お前なぁ、俺はお尋ね者だぞ? それを家に上げるって事はなぁ……」

「カンの爺ちゃん、軍人だったけど今は退役してるよ? 逆に安心よ。心配ない」

 ジェイの言葉を遮って説得するカンは、更に続けた。

「それに爺ちゃん、カンにレロレロね! 何でも言う事聞いてくれる。だから2・3日泊まってけ!」

 ジェイはカンを諌めながらも心が揺らいでいる。大金持ちの家に泊まれる事よりも、カンに用意されているであろう『女の子の部屋』に興味が有った。

「レロレロじゃ変態だ。メロメロだよ、カン。でも今は大変な時期なんだ。何が起こってもおかしくない」

 ジェイは「自分の一存では動けないからボスに相談してくる」と言ってどこかへ走って行った。

 しかし程無くして戻って来たジェイは、怒っているとも泣きそうだともつかない複雑な表情をしている。

「ジェイ、ダメだったのか。降参だな」

 カンが腫れ物に触るようにジェイの肩へ手を置いた。

「いや、反対だ。ボス、それはあっさり『行ってこい』ってさ!」

 ジェイはファミリーの現状を心配して「行かない方がいいですよね?」という聞き方をしていた。

しかしティーは事も無げに『お前が居なくても全然大丈夫だ。滅多に無い機会なんだから1週間位泊まってこい』と言ってのけたのだ。

「そりゃカンと一緒に過ごせるのは嬉しいぜ? でも、何だかもう俺は必要無ぇみてぇじゃねぇか!」

 ジェイは落ち込んだ時に必ずする、テーブルに突っ伏すポーズをまた取っていた。

「ジェイ、カンはボスの事知らないけど……多分ボスはジェイの事本当の娘みたい思ってるよ」

 ジェイの隣に座り直して、そのグシャグシャになった髪の毛を撫でながら続けた。

「子供に危険な事させたく無いのよ、親は」

「そ、そういうモンかなぁ」

「ジェイの本当の父さんだって、ジェイの事命懸けで守ったろ?」

 それを言われて身震いするとジェイは返した。


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