ロ包 ロ孝 2
 なんの気なしにそう言ったジェイの頭をティーがはたいた。

「なっ! なんですか、いきなり!」

『俺に取ってはお前達も本当の家族だ。何が有ったってそれは変わらない。そうだろ?』

 ジェイに寄り添って話を聞いていた雷児もユウレイも、いつの間にか大粒の涙をこぼしている。

「ボスッ!」

『よしよし、お前達』

 ティーは両腕を広げて包み込むように3人を抱きかかえた。

『お? ジェイ、どうした。ああ、叩いて悪かったな』

 彼が頭を撫でてやると、口を尖らせて拗ねていたジェイは、ティーの首に手を回して抱き付いた。

「いきなり叩かれたからビックリしたよう、ボスぅ。でも嬉しかった!」

『俺達は血こそ繋がってないが、家族以上の絆で結ばれてるんだ。それだけは忘れるなよ?』

 3人を見回すティーの目は、いつになく優しさで溢れていた。


〇※○※○※


「よおし、もう1回だ」

  ヒュオオオン! ヒュィン!

 林達は郊外の急斜面を使って、ホバーモービルでの突入訓練を行っている。

  ブルプスン ガクン

「あら、どうしたらいいのかしら。ミッツィー! ちょっとミッツィーィイ!」

 やっと(文字通り)重い腰を上げた野木村も、サンドモービルに乗る訓練を始めていた。

「野木村さぁん。林さんならぁ、もう下ですよぉっ!」

 ホバーモービルに乗った山路が見兼ねて声を掛けた。

「ひまぢ! お前もちょっと冷たいわよ? 私がこんなに一生懸命だっていうのにっ、こっち来て教えなさいよ!」

 盛り上がった小山に乗り上げてエンストしてしまった野木村は、再始動のやり方が解らないらしい。

「ああぁ、まぁずクラッチを切って下さぁい。……違いますよぉ、イグニッションじゃなくてぇぇ」

  ヒュイイイン

 砂を蹴立てて山路がやってきた。


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