ロ包 ロ孝 2
 野木村が眉間に皺を寄せて言う。

「そしたら侵入が困難になるって事だわ。でもこれでモノリスの線はもっと濃厚になったって訳よね。
 それにしても山路ぃ、貴方は随分余裕かましてるじゃないの」

「カマじゃぁ有りませんよぉぉ」

 山路は事務机に足を投げ出して、液晶ペーパーに載っている写真を見せながら言う。

「アハァ ハァ ハァ。だって野木村さぁん。入り口のこの建物、ここの壁が軽量気泡コンクリートで出来てるんですよぉ?」

「ナニナニ? それってどういう事なの?」

 野木村は液晶ペーパーの画面に飛び付いた。

「ほらぁ、この部分です。拡大しますよぉぉ?」

「かなりの割合がその軽量気泡コンクリートで出来ているわね。
 でも材質が何か影響有るの?」

「下手すりゃぁぁドライバーでも穴が開きますよ、ハァ ハァ ハァ」

 建物の外壁を成しているALCともヘーベルとも呼ばれるそれは強度が低く、脆い。急を要して作られた建物だったから、施工性を高くする為にその材質が使われたのだろう。

芯材の鉄線を避けさえすれば、フライカメラ程の穴を秘密裏の内に開けるのも容易い事だった。

「あら、それは好都合だわ? じゃあ早速明日出発ね、西村っ」

  バサッ

 突然地図を目の前に広げられ、唖然とする西村。

「野木村さん……これ……」

「ん? 地図は要らないの? 1回行ったから覚えてる? それは頼もしいわ!」

「じゃあ穴はぁ、このコアドリルで開けてくれればいいです。鉄線はぁこれでトレースして……オンオフだけですからぁ、簡単でぇす」

 山路からは充電ドリルと鉄筋探査機を渡される。

「後はこ、これ。念のた為に催眠ガスとえ、煙幕」

 四方から腕の中一杯に様々な物を渡されて、西村はどうしたらいいのかオロオロするばかり。

「もしかしてひとり? 俺ひとりきりじゃ無理っしょぉぉぉ!」


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