ロ包 ロ孝 2
「暑いなぁ。今年も沢山死人が出そうだ」

「ああ、うだるような暑さだ。昨日1人、熱射病で亡くなったってニュースで言ってたし」

「もうそんな季節か。まったく嫌になるよな」

 5月の終わり、東京の最高気温は35度を越えていた。

室内で片付けをしていたご老人が倒れ、病院に運ばれたものの、熱中症で亡くなったのだという。

 温暖化は全世界的規模で進行していた。海面上昇が平地を水没させ、山林の乱開発で緑が失われた日本列島は、上空からのサーモグラフィーを見ると真っ白に輝いて写っている。

更に周辺国の開発も著しく、その際は化石燃料を多用したので、まさにそれは枯渇寸前の状態であり、排出された窒素酸化物はより事態を深刻化させていた。

『次のニュースです。絶滅が危惧されていた皇帝ペンギンの野生種死滅が本日確認されました』

 ニュースでは毎日動植物の絶滅が伝えられる。北極の氷も数年前には既に無くなっていた。


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