ロ包 ロ孝 2
『そこで雷児。折り入って相談なんだが……』

 ティーはベッドサイドに椅子を置いて腰掛けると、枕を口に当てたまま語り掛けた。

『ジェイをな、ファミリーから抜けさせようと思ってるんだ』

 雷児は驚いて目を丸くした。

「えっ……ジェイさんをですかっ? 一体どんなヘマをやらかしちゃったんですかっ!」

『いや、そういう事じゃない』

 ティーはジェイに対する今の気持ちを切々と語った……。

「……そうか。そうですよね。俺たちも忘れているけど、ジェイさんは女の子ですもんねぇ」

『それでな、雷児』

「ハ、ハイ。ボス」

『これは口外無用だが、ジェイの後釜にはお前を据えたいと思っているんだよ、だがな……』

 雷児は背筋を伸ばして次の言葉を待った。

『お前の術はまだまだだし、精神的にも未熟だ。ジェイもそこは同じようなものだけどな、はは』

「いえ、ジェイさんは確かに喧嘩っ早いですけど、物事の道理は弁えてます。俺なんか全然ですよ」

 雷児はそう言いながらも、ジェイの後継者としてティーから選ばれた事に喜びを隠せない。

『今俺達は警察、音力、賞金稼ぎ、そして墨刀から狙われている。従ってNo.2のジェイにはそれだけの危険が降り掛かって来ているという訳だ』

「つ、つまりそれを俺が全部しょっちまえばいいんですね?」

 雷児は大きく身体を震わすとそう答えた。

『どうせ武者震いだとか言いたいんだろうが、正直ブルったな?』

「エヘヘヘェ、イダッ!」

 また照れ隠しに頭を掻いて、かさぶたを剥がしている。

『雷児。本当にまた輸血しなきゃならなくなるぞ?』

「すいません、つい……」

『まあいい。それでNo.2になる為の条件として、お前達には「超素質」を持つ者を探し出して貰いたいんだ』

「それって、ボス位の素質を持った人って事ですか? ううぅん『超素質』かぁ」

『難しいとは思うが、何とか頑張ってくれ』

「解りました。努力してみますよ」

 地位や権力に意地汚い人物には見られたくない。雷児は出来るだけ色気を見せないよう注意しながら了承した。


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