乱反射するプリズム
涙は見せまいと決めていたのに、じんわりと視界が軽く滲む。最後くらい余裕を見せて君は新しい人と頑張るんだよって言いたかったのに

改めて、別れを実感する。愛し合った日々を思い出すと胸が締め付けられる。離したくない、離れたくない。今更こんな事を思ったって無駄なのに、どうして

「……さようなら」

小さく呟かれたその言葉。僕達はもう二つじゃない。返事が出来なかった。君は何度も目を拭って、悲しげににこりと笑った

「ありがとう」

僕の方こそ、ってありがとう、君は優しいね、って言いたかったけど言えなかった。しばらく2人泣いたままでいた。すると君はまた悲しげに笑って待たねって言った

くるりと後ろを向いて、離れていく、遠ざかってく。僕は届くはずがないのを分かっていながら手を伸ばす、案の定、空を掴んだ手は力無く落ちて、切なさを孤独感を痛感させた

僕はきっと君を忘れることはないだろう、あの出会いもこの別れもさっきの冷たい手も
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