バイバイまたね
宏介の夢の中へ。

強く念じると、私はあの日の公園へいた。

宏介が、ベンチに座って、大好きなハンバーガーを食べている。

「宏介。」

私は、彼に呼び掛けた。

「優衣?座れよ。」

宏介は隣を指差す。

あの頃と同じ笑顔で。

「このままでいいの。聞いてほしいことがある。」

「何?」

「私、行かなきゃいけない。もう二度と会えない場所へ。」

「なんだよそれ。どこに」

宏介は、私の足元を見た。

軽く透けている。

「優衣?」

「あなたは、知ってるはずよ。もう逃げないで、苦しまないで。
私はずっと、あなたを見守ってる。
見えなくても、触れられなくても、声が届かなくても、あなたが私を覚えている限り、ずっとあなたの心の中で、私は生き続ける。」

どうか忘れないでほしい。

それが、バカな女からの、たったひとつの我が儘。

「行かなきゃいけないのか?」
「あなたは、もう気づいてる。逃げないで、目を背けないで、私は、ずっと傍にいるから。」
消えていく。

体が、空に吸い込まれる。

「優衣、俺頑張るから。」

宏介は、そう呟いて、歩き出した。

止まった時間がまた、動き出す。
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