揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「部活…行かなくていいの?」


一緒に廊下を歩きながら、とりあえずそう尋ねてみた。


「一緒のクラスの奴に、遅れるって伝えてもらうように頼んどいたから」


そう言って、彼はいたずらっぽく笑った。


この笑顔は、やっぱり反則だと思う。

だんだんと、ときめきに近い物を感じるようになってきてるし。


好きに…なれるかもしれない。


そう、思えるようになったんだ。


「昨日は会えなかったからさ。帰っちゃう前に会いたくて」


私が帰宅部だっていうのは、彼ももちろん知っていて。

だから、わざわざ来てくれたんだ。


「ちょっと、いい?」


たまたま通りかかった、第2音楽室。

そこを指差し、彼は立ち止った。


「え?」


ここに入るって事?

2人…きりだよね?


突然の展開に、ちょっとドキドキしてきた。


「少し話がしたくて。すぐ終わるから、いいかな?」


私には、それを断る理由が見つからなくて。

ためらいながらも、首を縦に振ってみせた。


「ありがとう」


そう言って、高崎君はドアを開けた。


普通の音楽室より少し狭いけれど、楽器はいろいろと置いてあるみたいで。

あまり、使った事の無い部屋だった。


「ここ、座ろっか」


窓際の一番前の席に、彼は腰を下ろし。

通路を挟んで隣になる席に、私も座った。


こっちを向いて座ってる彼と向かいあうのが照れくさくて、とりあえず私は前を向いたままで。
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