揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
『ゴールデンウィーク、どこか遊びに行こうか?』


高崎君との電話中。

たわいもない話をしていたら、ふいに彼がそう言った。


「え?ホント?」


最近、試合が近いとかで土日も部活が入っていて。

もちろん平日も部活なわけだから。


彼女といっても、デートらしいデートはまだしていなかった。


『うん、さすがにゴールデンウィークは休みがあるからさ。つき合いだしてから、全然遊びに行けてないしね』


「……ちょっと嬉しいかも」


正直、生涯で初めてのデートになるわけで。

緊張するものの、嬉しくないわけがないよね。


『俺も、嬉しいよ』


そう言ってくれた彼の声は、なんだか照れてるようで。


みんなの憧れの王子は。

思ってたよりも、ずっとずっと身近な存在だった。








それからまた、いろいろと話をして。

私達は電話を切った。


頭の中は、既に高崎君とのデートの事でいっぱいになっている。


もうそこに、大翔君の入る余地はなかった。


このまま彼に関わらなければ、私はきっと忘れられる。

そして、ただの克也の姉さんとして…大翔君の記憶の片隅に残っていくだろう。


それで、いいの。


嫌われるぐらいなら、このまま距離を置いた方がましだから。

                                    ぎゅうっと締め付けられる胸を押さえながら。

大翔君の事を考えるのは、これで最後にしようと決めた。
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