揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
もうここまできたら、開き直るしかなかった。


「ちょっと待って。とりあえず、大翔は水沢とつき合ってるし、姉ちゃんも今朝彼氏がいるって言ってなかった?」


確かに、そんな話した気もするけど……。


「別れたし」


そう。

もう、私と真吾は別れたんだよ。


「別れた!?何で?」


「だって、大翔君が好きだから……」


弟の責めるような口調に怯え、自然と声が小さくなっていく。


「……マジ?」


「大マジ」


こんな事、冗談で言う訳がない。

マジで好きになっちゃったから、困ってるんだってば。


「……まぁ、姉ちゃんの方はとりあえずおいといて。厄介なのは水沢だよ」


「うん……。っていうか、別に水沢から取ろうとか思ってないから。ただ、気持ちを伝えてすっきりしたいって言うか……」


「まぁ、告る時点で大変だろうけどな。学校でも、大翔に告った子は水沢にやられてるって話だし」


やられるって何よ……?

スケバンか?水沢。


「水沢に内緒で告るしかないよな。まぁ、ちょうどゴールデンウィークだし」


「……?」


「大翔を家に呼べばいいじゃん。って、俺アイツの番号知らねぇもんなぁ……」


「……番号なら、分かるけど」


おもむろに、ポケットから携帯を取り出してみせた。

番号は分かるんだよ……。


「何、知ってんの?じゃあ、そこに電話……」


「着信拒否されてるんですけど」


克也の言葉を遮って、そう答えた。
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