揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「な、何笑ってんだよっっ?」


顔を真っ赤にして怒る克也が、なんだか可愛かった。


「あのね、克。私、振られてないよ?」


「えっ?」


「大翔君も、私の事好きだって言ってくれたの」


「……えーーーーーっっっっっ!?」


克也のバカでかい声が部屋中に響く。

とっさに両手で耳を塞いだけれど、鼓膜がビリビリと震えてる。


「もぉっ、克うるさすぎっっ。お母さんが何かと思うじゃんっ」


手を外し、驚きのあまりに変な顔になっている弟を一睨みした。


「だ、だって大翔には水沢が……」


「別れるって言ってくれたよ。だから、大翔君が水沢と別れたらつき合う事になったの」


弟にこんな事を言うのは照れくさいけど、コイツは一番の協力者だから。


「へぇー。しっかし、大翔も趣味が悪……」


言い終わるか終わらないかに、私は克也の頭を小突いていた。

鈍い音がして、顔をしかめた克が頭を押さえる。


「……ってぇ」


涙目で見てくる克也を、ギロッとまた睨んで威嚇する。


趣味が悪いってどういう意味よっっ。


「とりあえず、克也のおかげだからさ。その…ありがとね」


改めて弟にお礼を言うのって、なんだか照れくさい。

でもそれは、向こうも同じみたいで。


「別に…俺は大した事してねぇよ。良かったじゃん、お互い好きだったんなら」


そう言って、克也はベッドから立ち上がり。

そのままドアの方に向かって行く途中、何か思い出したかのようにくるっと私の方を振り返った。
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