揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「で?何で真吾と別れたわけ?」


真っ直ぐに私を見上げながら、単刀直入に訊いてくる。


相変わらず直球勝負だなぁ、諒斗って。


「ほ、他に…好きな人がいたから……」


諒斗の顔色を伺いながら、たどたどしくそう答える。

案の定、アイツのこめかみがピクッとなったのが分かった。


「諦めるんじゃなかったのかよ?諦めて、忘れるために真吾とつき合うって……」


「そ、そのつもりだったけど、でも…無理だったの」


グラスを両手で包みながら、私は諒斗の目を見てそう答えた。


「無理?」


「諦められなかったの。あっ、でもね、彼も私を好きだって言ってくれたのっ」


諦めなくて正解だったんだよ。


そう、伝えたつもりだった。

だけど諒斗の顔つきは、さっきよりも何だか険しくなっていて。


「……誰だよ?そいつ」


まるで、尋問にあっている気分だった。

何でこんなに機嫌が悪いのかが分からない。


自分が紹介した友達が振られたから、こんなに私に冷たいの?


「……大翔君」


とりあえず、正直に名前を言った。

でも、諒斗は大翔君の名前にピンとこないようで。


「大翔って?」


と、また訊いてくる。


「ほらっ、前に映画館で会ったじゃん。私達の後ろの席に彼女と来てた子」


私の説明を聞いた時の諒斗の顔は、今までにないぐらいに怖かった。
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