揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「あんなガキに惚れたって、傷つくのはお前だぞ。俺にしろよ?このまま、俺とつき合えよ」


「……無理だよ」


3年前なら…きっと手放しで喜んだと思う。

だけどもう、あの時とは違うんだよ。


「あんな奴の事なんか、忘れさせてやるよ。もう、無理に抱いたりしないから。な?由佳」


いつも俺様な、諒斗。


そのアイツが、私を必死に引き止めようとしてる。

どんな卑怯な手を使ってでも、私を手に入れようとしている。


今の諒斗は…私の知ってる諒斗じゃない。


「……帰るっ」


「おいっ、由佳!?」


諒斗の声を無視して、私は部屋を飛び出した。

そのまま階段を駆け下り、急いで靴を履くと外へと飛び出した。


「えっ……?」


驚いた事に、いつの間にか雨が降っていて。

パラパラではなく、本格的に降っている。


いつから降ってたんだろう……?


私が家を出た時は、確かに降ってなかった。

雨が降るなんて思いもしなくて、傘も持たずに自転車を飛ばしてきたのに。


その自転車も、ずぶ濡れになっている。


「そうだ、電話っ」


思い出し、私は手にしていた携帯の画面を開いた。

諒斗によって落とされていた電源を入れ直し、待ち受け画面になるのを待つ。


この数十秒が…ひどくもどかしい。
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