揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「……なんか、日に日にやつれてない?」


朝、席に座った私を見て沙希はしみじみとそう言った。


「分かる……?」


返事をするのも疲れる。

昨夜は、ほとんど寝れなかったし。


「はぁ……」


項垂れるように、机に突っ伏した。


「うーっす。って、由佳どうした!?」


登校してきた諒斗の、驚いた声が聞こえてくる。


「さぁ……。昨日から変なんだよね、この子」


今度は、沙希の声が頭の上に聞こえる。

『変』って言葉に反論したかったものの、そんな元気もない。


「まぁ、俺は宿題見せてもらえりゃいいけどさ」


そんな諒斗を、私は一瞬で突き落とした。


「宿題、やってないから……」


「え!?」


アイツの声は、絶望に包まれているようで。

たまには自分でやれっての。


「マジメ人間の由佳がやってないって、ホントどうしたの!?熱、無い?」


慌てて、沙希が私のおでこに手をあててきた。


「熱じゃないから……」


なんでこんなに病んでるのか、今ははっきり分かってるんだってば。


「病院行けよ、由佳」


諒斗も心配そうに言ってくれてる。

でもね……。


「お医者様でも草津の湯でも……」


「え?」「は?」


私の呟きを、2人が怪訝そうに訊き返してくる。


「とにかく、ほかっといてくれていいから」


私は、顔を下に向けて目を閉じた。
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