揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ゆっくり、あったまって。リビングで待ってるから……」


濡れたまま、俺は彼女の返事を待たずに浴室を出た。


棚から、新しくバスタオルを取り出すと。

モヤモヤした気持ちをかき消すように、頭を思い切り拭いた。


とりあえず、余裕がなくなって襲ってしまった自分への戒めの気持ちと。

彼女に拒絶されて悲しい気持ちとで…いっぱいだった。


「何やってんだ、俺……」


ため息混じりににこぼすと、濡れた服を洗濯カゴの中に投げつけた。

自分用にと持って来た服に着替え直し、俺はリビングへと向かった。


せっかくつき合えるようになったのに、何だかギクシャクしてしまっていて悲しい。


泣いてた理由も、結局分からない。

遅れて来た事と…何か関係がありそうなものだけど。


もしかして、俺を拒んだのもその理由?


そうなのかもしれないと思いつつ、それを確かめる術がない。

彼女に訊いたって、きっとさっきの繰り返しだ。


梨香が…何かしたんだろうか?

それとも、まどかさん?

由佳の元彼?


どれも原因になりそうで、特定できない。


別れたり…しないよな?


急に、不安になってきた。

このまま振られるっていう可能性が、無いわけじゃない。


別れるなんて無理だ、俺……。


こんなに好きなのに、また手が届かなくなってしまうかと思うと気が狂いそうになる。
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