揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
とりあえず、悪い話ではなさそうかな?


「どうぞ、入って」


「……家に上がっても、大丈夫?」


そう心配そうな声を出して、彼はチラッと奥に目をやった。


「お母さん、まだ帰ってないから。後で、克也がうまく誤魔化してくれるし」


「なら、良かった」


ホッとした表情を見せる彼を招き入れ、2階の私の部屋へと向かった。


「何か、飲み物持ってくるね」


そう言って部屋を出ようとしたら。

咄嗟に、左の手首を彼に掴まれてしまった。


「えっ……?」


驚いて振り返ると、そこには真っ直ぐに私を見ている彼の姿があって。


「何も要らないから」


そう言ったかと思うと、彼は腕を急に引いて私を抱き寄せた。

そして空いている方の手で、ドアをパタンと閉める。


「何か…あった?」


いきなり抱きしめてきた彼の腕の力が強くて。

なんだか、今までと違う気がした。


彼の肩に顔を当てながら、私はそう尋ねてみた。


「由佳は…きれいなままだったんだよ」


右の耳元で囁かれた言葉。

イマイチ意味が分からなくて、返事に困っていると。

彼の口から、思ってもみない言葉が出てきた。


「由佳の初めての相手は、俺なんだ」
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