揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤

chapter37

今日の天気は野球日和って感じで、快晴もいいところだった。


「今日は最初から見れて、良かったわね」


一緒に応援に来たお母さんは、そう言って喜んでくれている。







昨日は、あれから大翔君を克也の部屋に行かせ。

私は下に降りて行った。


克也が『大翔が姉ちゃんに算数教えてもらってる』って誤魔化してくれたおかげで。

なんとか、私達の関係はバレずに済んだ。


入れ替わりに2階に上がった克が大翔君を連れて下りて来た時には、お母さんはカレーを食べていて。

結局、大翔君の顔を見る事はなかった。








「公式戦だから、この間みたいに負けるわけにいかないな」


野球の好きなお父さんは、今日も張り切って応援に来ている。


意外と、みんな家族総出で応援に来てたりするから。

すごいなぁって思わず感心してしまう。


まぁ、お姉ちゃんとかは来てないみたいだけどね……。


「今日勝ったら、明日決勝なんだよね?」


「よく知ってるわね?由佳」


「あ…ひ、大翔君が言ってたから」


言ってたのは、一昨日なんだけどね……。


「昨日、宿題見てあげた子?どこ守ってるの?」


そう言って、お母さんはシートノックを受けている克也達の方に目を向けた。


「えっと、ファースト…だったかな?」


知ってるのに知らない振りをしなくちゃいけないのは、結構しんどいんだって事を。

今日、つくづく思い知った。


「あぁ、あのカッコイイ子ね」


「そ、そうだね」


こうやって話していても、私の心の隅には。

『もし、明日ホームラン打ったらご褒美くれる?』っていう約束が貼り付いていて、離れてくれない。


お母さん、ごめんなさい。

あなたの娘は、そのカッコイイ子と実はつき合ってます。


おまけに、もしかしたら今日彼と…ラブホデビューをしてしまうかもしれません。
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