揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
その時だった。


「まーた、お前らと一緒のクラスかよ?」


そう言って私の右隣の空席に鞄を置いたのは、中学から一緒の諒斗(りょうと)だ。


「それはこっちのセリフよ、バカ諒斗」


沙希は小学校から諒斗と一緒で、くされ縁の2人はケンカ友達。


「由佳、また宿題よろしくな」


沙希に軽く舌を出すと、諒斗は私の方を向いてそう言ってきた。


「自分でやんなきゃダメじゃん」


「部活ハードで、やる暇ねぇもん」


そう言ってニカッと笑う諒斗は少年っぽくて、悔しいけどかわいかった。


そんな諒斗を好きだったのは、中2の時。

初めて一緒のクラスになって、その明るい性格とバスケをする時の真剣な顔を好きになった。


でも、諒斗には既に彼女がいたんだ。


学校でも指折りのかわいい子。

1年の時からつき合ってたんだって。


だから、私は気持ちを伝える前に諦めた。


人の彼氏を取るほどの勇気、私には無かったし。

それだけの気持ちなのかと言われたら…何も言えないけど。


だって、私はそこまで人を好きだと思った事がないから。

何が何でも、自分のモノにしたいと思う事が。
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