揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
そんな事を考えていた時、私の視界を何かが横切った。

ネクストバッターズサークルに入る、5番バッター。


それは…大翔君だった。


胸がドキッてするのが、自分でもよく分かって。

高崎君には感じなかった、このときめき。


やっぱり、私は彼が好きなんだ……。


大翔君まで、回るかな?

彼のバッティング、見てみたいな。


公輝君が塁に出てくれれば、点は入らなくても大翔君に打順が回る。

じっとバッターボックスを見つめている彼の横顔を、私はこっそり見ていた。


ホントに真剣な、大人のような眼差し。

それを見ていたら、願わずにいられなかった。


打たせてあげたい、と。


勝たなくてもいいから、三振でもいいから。

大翔君に、打席に立たせてあげたい。


それは、私が見たいからとかじゃなくて。


野球に一生懸命な彼に、勝負をさせてあげたいって思ったからなんだ。
< 49 / 298 >

この作品をシェア

pagetop