揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「今日はどこでデート?」


俺の向かい側の席に座ると、彼女はカップを手にした。


「観たい映画があるらしいから。それからゲームして買い物だって」


まだ熱いトーストをかじりながら、そう答える。


平日は野球があるから、たいてい土日でデートをする。

これがデートなのかどうかは、よく分からないけど。


デートって、好きな奴同士が一緒に出かける事だろ?

なら、理屈的に言うと…俺らのは当てはまらない。


「私もたまには大翔とデートしたいなぁ」


「……新しい恋人でも見つけたら?まどかさん、まだ若いんだから」


サラダをつつきながら、軽く切り返す。


俺の相手なんかしなくても、彼女に言い寄る男は山ほどいる。

勝手にそいつらとつき合ってくれても、俺は全然構わないのに。


義務さえ、ちゃんと果たしてくれれば。


「こんな未亡人なんか、誰も相手にしてくれないわよ」


思ってもないくせに、さらりと言ってのける。


父さんが死んでから、そろそろ半年。

すなわち、俺とまどかさんの関係も半年という事だ。


「ごちそうさま。ちょっと、宿題終わらせてくるから」


食器をシンクに置き、俺はそのまま自分の部屋へと向かった。
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