月を狩る者狩られる者
〜純血〜
「誰かいるの!?」
ドアが開いて、廊下の明りが差し込む。
その光と共に凛とした女の声が聞こえた。
私がドアの方に目を向けると、朔夜がチッと舌打ちをしたのが聞こえる。
「来たな……」
コトハ。
朔夜を攫って監禁していた人……。
私から、ひと月も朔夜を奪った女――。
嫉妬もだけれど、それとも違う憎しみに似た感情も湧き出てくるのを感じた。
私は近付いてくるコトハがベッドにたどり着く前に、天蓋から出た。