トマトときゅうり


 楠本さん、と問いかけようとしたけど、声が出なかった。


 こんな無表情なきゅうりは嫌だ。

 怖い。

 どうしたの。

 何でなの。

 何で黙って私を見てるの。

 いつもみたいに、からかっ―――――――――――――――――


「・・・俺は」

 突っ立ってる私を見ていた。

 何も読み取れない瞳のままで、きゅうりは言った。


「お前のことなんて、なんとも思ってない」



 息が、止まったかと思った。




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