あやまち
「わ、たるっ!」



気付いたら、嗚咽混じりの声でそう叫んで、そのまま渉の胸に飛び込んでしまった。



「ちょっ、悠亜!?」



そんなあたしに渉は明らかに動揺していて。


でもあたしの胸の中は、自分でも信じられないくらいに一気に、渉への想いで一杯になってしまった。


渉の背中に腕を回してぎゅっとしがみつく。


でも渉からは抱き締め返してはくれなくて。


それが無性に寂しく感じてしまう。



「……好き……」


「は?」


「渉のことが、好き」


「えっ、な、は?……ちょっ、悠亜、今なんて!?」



あたしが口にした想いを信じられないのか、渉はひどく取り乱して。


しがみついているあたしを必死に離そうとしてくる。


でも、今顔を見られるのが凄く恥ずかしくて、その手を緩めることはできない。
< 199 / 220 >

この作品をシェア

pagetop