あやまち
崩壊



「いらっしゃいませー」




その声と同時に、ひんやりとした空気が肌に触れた。



翔太が遠征へ行ってから6日が経ち、毎日朝から夕方までバイトをしていたせいか、今日はもう疲れが限界まで来ていた。



普段は週3ペース、しかも夜だから短時間が多い。



いくら翔太がいないからって、ぶっ続けでバイトを入れなきゃ良かったと後悔した。




「悠亜?」




自炊する気力すら失い、綺麗に並べられた弁当を漁っていたら、後ろから声をかけられた。



そこには……




「渉」




いつもここで会う時は制服姿なのに、今日は私服の渉がいた。




「今日はバイトじゃないの?」


「まあな。ここの前を通ったらおまえが見えたから」


「そっか」




どうやら、弁当を漁っている姿を渉に見られていたらしい。




「メシ、作ってやろうか?」


「え」


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