その瞳で見つめて~恋心~【完】
でも彼は、質問を質問で返してきて、あたしを困らせた。


「え? なんでって……。あの、浮気してるとか、勘違いされませんか?」

「ん……。あ、そういうことか。大丈夫だよ。人、いなかったじゃん」

「は、はい」

そういう問題なのかな……?


進藤先輩は後先何も考えていなかったらしく、あたしの返答を聞いて納得してしまった。


なんだか進藤先輩と彼女の仲を疑ってしまう。


「──水嶋ってさ。隼斗のこと、好き?」

「えっ?」

進藤先輩は前を見すえて歩きながら、訊いてきた。


あまりにも唐突な質問だったので、体が反応してとっさに出てきた疑問の声も跳ねる。


「ほら。隼斗とか苦手そうなのに、意外だったから」

「そ、そうですか?」

「疑ってるわけじゃないけど、隼斗のどこが好きなんだ?」

ど、どうしよう……!
と、とにかく、言わなきゃ……!


進藤先輩のことを好きだと気づかれてしまったので、進藤君と付き合うようにと脅された。

──なんて、言えるわけもない。


パニック状態にあったあたしの脳裏に、進藤君の優しい一面や笑顔のときのシーンが映し出された。


「えっと……。意外と優しいトコが好きです……」

「へえ。水嶋に優しいんだ?」

「は、はい。それによく、笑顔で接してくれて……」
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