その瞳で見つめて~恋心~【完】
「ちょ、大声出さないでよ。耳、痛い……」

「あっ、ご、ごめんなさい」

「………………。まあ、とりあえず入りなよ」

進藤君は扉を開けながら、部屋に入るようにと促(うなが)した。


「あ、うん」

「──下の階にいる人らに聞かれたくないし……」

「え? 何か言った?」

「あ、ううん。何でもないよ」

進藤君に適当に座ってと言われ、初めて訪問したときのように、テーブルの付近に座る。

進藤君はあたしが座ったことを確認すると、ベッドに入って柵にもたれかかった。


「──で? 何で水嶋さん、家にいんの?」

「え?」

「兄さん目当て?」

「そ、そんなんじゃ……」

め、迷惑……だったのかな?


進藤君の声はいつもより低く、口調も荒々しく思える。

なんだか機嫌が悪そうだ。


「じゃあ、何」

そして何より進藤君の顔は険しいので、怖くなってうつむく。


「水嶋さんって、マジに兄さんが好きなんだね。俺の前では笑ってくれないし」

「え?」

その言葉に反応して顔を上げてみると、彼は今にも泣きそうな悲しい表情をしていた。


「今は、水嶋さんの鈍感さがつらいよ」

そう言うと、進藤君はベッドから出てきて、いきなりあたしを抱き上げた。

そしてそのままの状態で、ベッドまで運ばれてふとんに落とされる。


「きゃっ! し、進藤君……!?」
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