白いジャージ8~先生と熱い想い~





「海東へ 覚えていますか?

3年の担任だった岡田です。

海東のことは、よく覚えています。

どうしてかと言うと、本当に大変なことがいろいろあったからです。

体育倉庫の中でたばこを吸っている君を見つけて、僕は君を殴りました。

あの時、君も痛かったと思うが僕も痛かった。

海東がそんなことをする生徒だと思っていなかったから悲しかった。

でも、それから一度も君を殴ることはなかった。

海東は人気者で、リーダーの素質があると思っていたので、学級委員を無理やり押しつけました。

最初は嫌がっていたけど、卒業近くになると、驚くほどにみんなを引っ張って行ってくれました。

卒業式にこっそり僕に手紙を用意していたのも、海東が考えたんだと聞きました。

僕は、不器用で、教師なのに口ベタだったから、ちゃんと気持ちが通じているのかわからなかった。

でも、海東がクラスをまとめてくれて、僕を助けてくれた。

決して、真面目な生徒じゃなかったし、改造した制服を着たり、髪を染めたりしていたけど、すごく学校を愛していた生徒だったと思う。

友達が多く、いつも君の周りには笑顔があった。

今回、結婚すると聞き、海東のことを思い出していると、君の笑顔ばかりが浮かんだよ。

遅刻してきた君はいつも無邪気な笑顔で教室に入って来た。

その笑顔で、これからの人生も頑張ってください。

辛いことも悲しいこともあると思うけど、笑顔が一番。

君の笑顔は人を幸せにすると思う。

奥さんと一緒に毎日笑顔で過ごしてください。

もし、奥さんを怒らせるようなことをした時は、中学時代のようにかわいい笑顔で謝ってください。

きっと奥さんも許してしまうと思うよ。

こうして、中学まで足を運んでくれる友達がいるというのは素晴らしいことです。

これからも、変わらずに、人から愛される海東でいてください。

いつか、奥さんと一緒に顔を見せに来てくれると嬉しいです。

結婚おめでとう!」









< 87 / 374 >

この作品をシェア

pagetop