明日もキミの、そばにいたくて。
第1章 春想

ⅰ.意気地なし


――3月。
桜の花びらが、風に揺れた。


「智晴、帰ろ!」
「もう会えない奴もいるんだから、ちょっと待てって」

そう、今日は中学卒業式。
私、小宮凛は卒業式の今日こそ、幼馴染である智晴に告白しようと思っているのだけど……。
人気者の智晴の周りにはたくさんの人。
これじゃあ告白なんてできそうもない。

ああ、私の意気地なし。
お父さんに似たのかもしれない。
お父さんも高校の卒業式の日、告白できないでお母さんを親友に取られちゃったとか……。
――智晴も告られちゃったりして。
そんなわけない……と思いたい、でも思えない。

ああ、私の意気地なし。

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