龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】

「ゴメン! 本当にゴメン!」

圭吾さんは、わたしに平謝りに謝った。


「だいたい、今日は志鶴ちゃんが来る日だと言っておいたはずよ」

彩名さんが叱るように言った。

「今まで何をしていたの?」


「ああ、ゴメン。少し仕事が長引いて」


この人、謝ってばかりだわ

何だかちょっとかわいそう


「怖がらせたかなぁ」

彩名さんに抱きついたままのわたしを見て、圭吾さんは言った。

「最初からやり直させてくれないか? 僕は、君の従兄の圭吾だ。よろしく」


握手を求めるように手が差し出される。

無視する訳にもいかず、わたしもおずおずと手を差し出した。


「志鶴です。よろしくお願いします」


大きな暖かい手がわたしの手を包みこんだ。


穏やかな優しい目

気難しい人って本当かな


「怖がらないで。噛み付いたりしないから」


おどけたように言われて少しだけ微笑むと、圭吾さんも笑顔になった。

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