【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「ああ、あれか……大丈夫だよ、ちゃんとあるから」
ひきつった笑顔で、しどろもどろに答えるサトシ。
動揺も隠せないなら、浮気なんてしなければいいのに。
「あるって、どこに?」
「いや、あるから大丈夫だって」
「だから、どこにあるの?」
「それは……」
冷静に問い詰める私に、サトシは口ごもり――
観念したかのように立ち上がると、寝室のクローゼットに向かった。
クローゼットを開けると、あの写真立てが、伏せた状態で棚に置かれていた。
「ほら、ここにある」
「どうして本棚に飾ってあったのを、ここに隠したの?」
「隠してなんかないよ。しまっておいただけ」
「どうして、しまったの? どうして飾っておいたままにしてくれなかったの? 飾っていたらまずいことでもあったわけ?」
いつものように流してあげることはできなかった。