【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「うちの母親は片付けに厳しかった。ゆえに俺は、物は使ったらしまえと徹底的に教え込まれた。それにより、何でも使い終わったらしまわないといけないという条件反射的な習性が身についてしまっている。それでその写真立ても……ある日、手に取って見ていたら、つい『見終わったら、しまわないといけない』と条件反射的に思ってしまったんだな。それで、無意識のうちにクローゼットにしまってしまったというわけだ」

はぁ?

「習慣って、おそろしいよなぁ」

習性がおそろしいというより……

サトシの嘘の下手さ加減がおそろしいわ!


もう少し上手い嘘は、思いつかないものなのだろうか。たとえば、

「同僚が遊びに来たから、恋人の写真を飾っているのが恥ずかしくて隠した」

とか。

その方がよほど自然なのに。


思わず嘘のつき方をレクチャーしたくなるくらい、サトシの嘘は下手すぎて。

「……私が今日持ってきたフォトフレームは、しまい込まないでちゃんと飾ってね」

脱力感とともに、そう頼むのが精一杯だった。


ねぇ、サトシ。

お願いだから、そのフォトフレームはクローゼットの奥底に隠さないでね。

だってそれは……

幸せの象徴として飾りたいのだから――
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