【完】 After Love~恋のおとしまえ~


私が仕掛けた「ビニール袋事件」以来、サトシの部屋からも、サトシ自身からも、ももちゃんの痕跡が消えた。

ももちゃんとは別れたということなのだろうか?

あの時、サトシは確かに「どちらも選べない」と言っていたのに……

私を選んでくれたのか、あるいは、ももちゃんの方から見切りをつけられたのか。

真相は分からないけど、とにもかくにも、ももちゃんの痕跡が消えたのだ。


さんざん私を悩ませた割には、なんてあっけない幕切れだろう。

こんなことなら、もっと早く、ビニール袋を三角形に折れば良かった。



「これ、買ってあげようか」

それから数日後のある日、宝飾店のショーウィンドーの前を通りがかった時、サトシが突然そんなことを言い出した。

「え?」

サトシの指差す先を見ると、そこにはダイヤの指輪が飾られていた。

七桁の値段が表示されている。
< 216 / 595 >

この作品をシェア

pagetop