【完】 After Love~恋のおとしまえ~



その日の帰り、サトシは

「片付けありがとう。お礼と言っちゃナンだけど、これ、プレゼント」

そう言って、あるものをくれた。

それは、お寺で撮った写真だった。

私が一人で写っている、心霊写真になりそこねたあの写真である。

「プリントアウトしてあげたよ」

「……ありがとう」

サトシ、お礼と言っちゃナンだけどって言ったけど、本当に「ナン」よね。

心の中で苦笑する。

「なかなかよく撮れてるよ」

「そう?」

「そうだ、持って帰るのに折れないように、クリアファイルをあげようか」

サトシが机の引き出しを開けてごそごそとクリアファイルを探しはじめたので、手持ち無沙汰で待っていた私は、何の気なしに本棚に目を向けた。

すると……

本棚の一角に置いてある、ガラスの写真立てが目に入った。

それを見た私は、「あっ」と驚いて目を見開いてしまった。

なぜならその写真立ての中に、私の写真が入っていたからだ。

まさにこの「心霊写真になりそこねた写真」が。
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