【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「なんだよ、友里! まさか、この曲が名曲すぎて泣けてきたのか!? 音楽に感動して泣くなんて、友里って感受性が豊かなんだな!」

恋人の涙の意味さえ、見当違いな解釈をするサトシ。

それはあまりに、サトシらしくて――

私は泣き笑いの顔で

「そうね。名曲すぎて、泣けてきちゃったよ」

そんな返事をしたのだった。


私がサトシの部屋に行かなくなったから。

今では、サトシはきっと気兼ねなく彼女を泊めるようになっていることだろう。

そして部屋には、車の中以上にももちゃんの私物が増えていっているかもしれない。

彼女は、サトシのために家事をして。

どんどんサトシの懐の中に入っていっているのかもしれない。


こんなに苦しくて不安な恋なんて、していても良いことなんてないのに。

一つもないのに。

やめられないのは、なぜなのだろう。
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