【完】 After Love~恋のおとしまえ~



翌日は朝から曇り空で、サトシが来たときには、小雨が降り出していた。

呼び出された場所に行くと、傘をさしたサトシが下を向いて立っている。

「サトシ」

私の声に、サトシがはっとした顔で振り向いた。

それから――

サトシは傘を放り出すと、いきなりその場で土下座をした。

「ちょっと、サトシ!?」

「申し訳なかった!」

サトシは頭を下げたまま、そう謝ってくる。

「今さらこんなこと言っても、もう受け入れてもらえないかもしれいけど。それは分かっているけど……俺、友里とやりなおしたい」

「……!?」

思いもよらない展開に、頭の中が真っ白になる。

「このとおり、許してほしい」

深々と頭を下げるサトシを、私はただ、呆然と見つめていた。

静かに降り続く雨の音だけが、辺りを覆っていた。
< 304 / 595 >

この作品をシェア

pagetop