【完】 After Love~恋のおとしまえ~
「俺にして欲しいこと、何かない?」
悲痛な口調でもう一度そう繰り返したサトシに、私は――
「話が聞きたい」
そう告げた。
「話? うん、いいよ、何の話が聞きたい?」
「サトシとももちゃんの話」
「友里……」
サトシの横顔が、落胆の色に染まる。
「嫌味で言っているんじゃないの。ただ、どうして二人が惹かれあったのか、知りたいだけなの。だって、単に家が近いとか、嘘をつかなくていいから楽っていうことだけが理由だなんて、やっぱりどうしでも納得できなかったから。他に理由はなかったの? 何かあるんじゃないの?」
「……」
サトシは沈黙した。
それはいつもの、言い訳考え中の沈黙とは、違うような気がした。