【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「花火なら、公園に行ってやろうよ」

私の提案に、サトシは首を振った。

「また出かけるのは面倒だから嫌だ。だったらベランダで、危なくない線香花火だけやろう」

公園、すぐ近くじゃない。

面倒なら別にいいけどさ。


それから、サトシは線香花火に火をつけると

「そうだ、これで、占いをしよう。この線香花火の火の玉が落ちずに最後まで燃えたら、俺と友里は永遠に、ずっと一緒にいる!」

そんなことを言い出した。

そうして、「な?」と無邪気な笑顔を向けてくる。


サトシは……

こうした無邪気なところが、どうにも憎めないのだ。

私がサトシに惹かれるのは、きっと、この屈託のない瞳。


「よし、いくぞ」

火をつけるサトシに、「がんばって」と呟いた。

……だがしかし。

無常にも火の玉は、すぐにぼとりと落ちてしまった。

何しろ、サトシの部屋は高層階。

風が強いのだ。

「くそー、こうなったらあの作戦で行くか!」

「あの作戦って?」

私の問いに、サトシは得意げな顔になる。

「三本の矢作戦だよ!」
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