【完】 After Love~恋のおとしまえ~




「――さぁ、行こうか!」

成田からの長時間のフライトを終え、サンフランシスコで一泊した翌日、ラッコが見られるというモントレーという街へ向けて出発した。

私たちが借りたレンタカーにはカーナビがついていなかったけど、下調べをしっかりするタイプの彼が道に迷う心配はなかった。

車内を流れる英語のラジオ放送が旅の気分を盛り上げてくれ、開け放した窓からは爽やかな西海岸の風が吹き込んでくる。

私はそっと瞳を閉じ、その風の心地良さを味わっていた、

すると――

ふいに、ラジオの音が小さくなった。

翔さんが、音量を絞ったようだ。

どうやら、私が眠ったと思った彼が、起きないようにと配慮して音を小さくしてくれたらしい。

その気遣いが嬉しくて、私はそのまま眠ったふりをする。
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