【完】 After Love~恋のおとしまえ~
週末の午後ということもあり、銀座の街は多くの人で賑わっていた。
太陽は、夏の終わりを惜しむかのような勢いでアスファルトを照らしており、行き交う人々の多くが、手にしたハンカチなどで流れ出る汗の対処をしていた。
待ち合わせ場所として指定した銀座三越前まで来ると、私はオフホワイトの日傘を閉じた。
バッグから小さな鏡を取り出すと、メイクをチェックし、手ぐしでそっと髪を整える。
開け放たれたデパートの入り口からは、涼やかな風が吹き出てきていた。
腕時計に目を落とすと、待ち合わせ時刻の五分前……