【完】 After Love~恋のおとしまえ~
その日の帰りのこと。
途中で夕食を取ったレストランから出たところで、小さな段差につまずき、私は転倒してしまった。
暗くて足元がよく見えなかったのだ。
「いたた……」
見ると、ストッキングが破け、ひざから血がにじみ出ている。
「大丈夫か!?」
「うん、平気。ひざを擦りむいただけ」
「血が出てる。消毒しないとばい菌が入るな。手当しないと。急いで車に戻ろう!」
サトシは車に戻ると、慌てて発車した。
それから、てっきりどこか近くのコンビニにでも行って、消毒液でも買って手当してくれるのかと思ったら……
サトシはそのまま、自分の勤務先の病院まで車を走らせたのだった。
その場からサトシの病院まで、車で一時間はかかるのに……
あの、サトシ?
こういう手当って、応急処置が大切なんじゃないの?