【完】 After Love~恋のおとしまえ~


そんな小さな行き違いがありつつも無事に合流し、カフェ・リリーシュでお茶を飲んでいたときのこと。

私が幼少のころから習っているピアノの先生の話をしたあとで、

「だから私、先生のこと大好きなんです」

そう締めくくったところ、何を思ったのか、サトシが身を乗り出してきた。

「ほんとに? 嬉しいな、ありがとう!」

顔をほころばせてお礼を言ってくる。

何故サトシがお礼を言うのか分からず、私は首を傾げてしまった。

「俺、さっき待ち合わせで失敗しただろ? あれで嫌われたんじゃないかって、心配していたんだ。だから、そう言ってもらえて嬉しいよ」

「あの……?」

何の話だろうかと必死に頭を回転させる私の前で、サトシは小さく咳をし、こんな言葉を続けたのだった。

「友里ちゃんにだけ言わせるのもナンだから、俺も言うよ。……好きだ」

「え!?」
< 7 / 595 >

この作品をシェア

pagetop