【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「この前、友達がオーストラリアのホワイトヘブンビーチに行った写真を見せてくれてね、それがすごく綺麗だったの。本当に砂が真っ白なのよ。ホワイトヘブンビーチは綺麗すぎて生き物が住めないところなんだって。私、いつかあそこに行きたいんだぁ」

そんな私の発言を聞いたサトシが、少しだけ寂しそうな表情になった。

「ここの海も綺麗じゃないか? 俺はここでも、十分満足だけどな」

その言葉を聞いて、しまった、と思った。

サトシがせっかく連れてきてくれた海なのに。

その場所で、他の海に行きたいと言うなんて……

せっかく連れてきてくれたサトシを、こんなにガッカリさせる言葉はないだろう。


配慮がないのは私の方だ。

なんてデリカシーのない発言をしてしまったのだろう。


「あの、もちろん、ここの海も十分綺麗よ! 連れてきてくれて、ありがとう」

慌ててそう言った私の肩を、サトシは苦笑しながら抱き寄せた。

「うん。だけど……じゃあ次の休みには、そこに行こうか」

「え?」

「オーストラリア」

「……!」

目を見開いた私に、サトシが照れたように笑った。
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