運命の、その場所で
「ち、近い。」
両手で彼を押し返して、顔を下げると彼は私の髪をクシャって撫でてくれた。
「…俺も、緊張してる。」
「え?」
「ユキと、こうやって朝学校に行くのずっと楽しみにしてたから。」
なんで…
そんな笑顔で言うかな?
さすが…遊び人。
女の弱い所を…知ってるね。
「…変な事言わないでよ。」
「変?おれの素直な気持ちじゃんか~。」
そう言って、また彼は笑う。
その顔見てたら、
なんか緊張してる自分がバカらしく思ってきて、
いつのまにか緊張とか…そんなのどっかに飛んでいってた。