寂しがりやの猫
金曜の夜とあって 終電近い時間でも 電車は かなり込み合っている。


毎回 毎回、飲み会の後の電車は 窓ガラスに映る異様に疲れた顔の自分が嫌で、好きになれなかった。


田村と つり革に掴まって 隣同士に立った。


「田村って 家 どっち方面なの?」

不意に気になって聞いてみた。


「奇遇ですね。同じです」


話してみると 私の最寄り駅より倍ほどかかるが 方面は同じだった。


全く逆では無くてちょっとホッとする。

なんとなく 学生時代の話になり、私は また愉しくて、声を上げて笑ってしまった。

なんでだろう…
今日は、帰りの電車が嫌では無かった。


全く異性を感じさせない田村に、心からリラックスしていた。
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