寂しがりやの猫
「俺さ、結婚するんだ」


― あー そっちか!

私は ちょっとだけ がっかりして ちょっとだけホッとする。


真面目に付き合おうって言われても困るし、別れようって言われるのも寂しいから。


「そうなんだ。良かったね。で、今日で最後にしようってこと?」

「いや、そうじゃなくてさ…」

シュウは 炭酸飲料を置いて 私を真っ直ぐに見た。

「何よ。結婚すんのに それ以外ある?」

私は 段々腹が立ってきた。

これ以上惨めになりたくない。

「だから、報告しただけ。俺 彼女とは もう五年付き合ってて… アイツ30になるし、そろそろって向こうの親に急かされてさ。

で、結婚するけど、奈都との関係は 変わりなく続けたいんだ」


「……」

― 呆れて言葉が出て来なかった。

コイツ… 女の敵だわ。


結婚する彼女が気の毒で、同情してしまった。
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