寂しがりやの猫
「俺、最近、彼女と別れたんですよー」

田村と初めて飲み会で 隣になった。


5月。

研修も終わり、それぞれの配属が決まる。

田村は たまたま 私の課に来て、そしてたまたま 席は 私の前だった。


最初は ほとんど 話すことも(必要も)無かったが、少しずつ仕事で関わるようにもなってきていた。


― ふうん… 案外 頭のきれる奴…


それが田村の印象だった。



「へぇ…。何年くらい付き合ってたの?」


「んー 半年くらいですかね。なんかアイツ仕事が忙しくなったみたいで」


「へぇ。何の仕事してんの?」


「あ、女子アナです」

「…え…?」


今の聞き間違いじゃないよね。

私の勘違い?

それとも田村の冗談?

私が 固まっていると 同じく新入社員の真壁が 口を挟んで来た。

「田村って凄いんですよー、人脈。こないだの合コンなんかモデルとかCAとか女医のタマゴも居たなー」


「えっ そうなの?」

私は 余りのことに ちょっと 田村を尊敬しそうになった。
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